カラフル
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森絵都「カラフル」
生前の罪により輪廻のサイクルから外されたぼくの魂が天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。
真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになる……。
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この本の8割は、かなり単調な色合いだ。たまに大きなトラブルがあったり、嬉しい事もあるが結局は他の出来事と混ざり合い灰色になってしまう。
しかし、終盤にはそれを覆すように
そこかしこが色つき始める。
まるで、描きかけのキャンバスを仕上げるかのように。
私が印象に残った一文がある。
主人公・ぼくを案内する天使プラプラの言葉だ。
「ホームステイだと思えば良いのです」
今の自分は、なにかを失敗する事や
傷つく事、多くの人の当たり前から外れること
を恐れて動けなくなっている。
本当にやりたい事も見失っている。
なら、自分は一度死んだ魂で
いまこの身体を借りて人生を再挑戦していると思えばいい。
期限は再び死ぬ60年、70年後まで。
振り返った時に、後悔なくやり切れたらいい。
過去でもない未来でもない
とにかく今日いま、この瞬間を精一杯生きること。
そんな気づきを与えられた一冊だ。